和歌山地方裁判所 昭和40年(わ)48号 判決 1969年12月17日
本店所在地
和歌山市中之島一四五番地
内田産業株式会社
(代表者 内田利司)
本籍
和歌山市中之島一四五番地
住居
和歌山市中橋筋二丁目一六番地
内田産業株式会社取締役社長
内田利司
昭和八年三月五日生
右内田産業株式会社ならびに内田利司に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官山下松男出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告内田産業株式会社を判示第二の一の罪につき罰金二〇〇万円に、判示第二の二の罪につき罰金二五〇万円に、被告人内田利司を判示第一の一の罪につき罰金五〇万円に、判示第一の二の罪につき罰金一〇〇万円にそれぞれ処する。
被告人内田利司において右罰金を完納することができないときは金二、五〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告内田産業株式会社は、和歌山市中之島一四五番地に本店を置き、製材、紙器製造、梱包、映画劇場、ホテル、喫茶店等を経営するもの、被告人内田利司は、右会社代表取締役社長で右会社の業務を統轄しているものであるが、
第一、被告人内田利司は、右会社の業務に関し法人税を逋脱することを企て、株式配当所得、ホテル売上収入の一部、映画劇場のスライド収入を公表帳簿より除外し、架空の材料仕入、架空の経費、給料等を公表帳簿に計上する等の経理上の不正処理を行い、
一、昭和三七年二月二八日所轄税務署長に対し、昭和三六年一月一日から同年一二月二一日までの間の事業年度における法人税の確定申告をするに際し、同事業年度における右会社の所得金額は、二九、五二八、五〇三円、これに対する法人税額は、一一、一二〇、八三〇円であるのにかかわらず所得金額は、五、〇四六、七二五円、これに対する法人税額は、一、九二五、六七〇円である旨申告し、もつて不正の行為によつて正当税額と申告税額の差額である九、一九五、一六〇円を逋脱し、
二、昭和三八年二月二八日所轄和歌山税務署長に対し、昭和三七年一月一日から同年一二月三一日までの間の事業年度における法人税の確定申告をするに際し、同事業年度における所得金額は、四五、七六五、七九〇円、これに対する法人税額は、一七、二九〇、九六〇円であるのにかかわらず、所得金額は、一七、五九二、八八三円、これに対する法人税額は、六、八三二、二八〇円である旨申告し、もつて不正の行為によつて正当税額と申告税額との差である一〇、四五八、六八〇円をほ脱し、
第二、被告内田産業株式会社は、その事務に関し、被告人内田利司において
一、前記第一の一記載のとおり法人税を逋脱し、
二、前記第一の二記載のとおり法人税を逋脱し、
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一、第一回公判調書中の被告人内田利司の供述部分
一、被告人内田利司の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官作成の被告人内田利司に対する質問てん末書八通)
一、砂山政美の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官作成の松浦房三、谷田道夫、内田利与茂に対する各質問てん末書
一、大蔵事務官作成の砂山政美に対する昭和三八年一二月一八日付質問てん末書
一、内田利与茂の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官作成の犯則概要書と題する書面
一、大蔵事務官作成の臨検捜索てん末書一一通
一、大蔵事務官作成の差押てん末書八通
一、大蔵事務官作成の領置てん末書六書
一、大蔵事務官作成の保管証一〇通
一、大蔵事務官作成の現金、預金有価証券等現在高検査てん末書七通
一、村辻平久、岡本雅純、谷口博昭、小野田幸雄、児玉光浩、渋谷允朗、谷口昌弘、砂山政美、岡精一(二通)被告人内田利司(三通)作成の各確認書
一、大蔵事務官作成の調査報告書二三通のうち記録番号一〇六、一〇七、一一一、一一三、一一八、一二八号のもの
一、押収してあるスライド帳三冊(証第一〇号)
一、押収してある本社会計帳簿九冊(証第一五号)
一、押収してある伝票綴二六綴(証第二一号)
一、内田産業株式会社作成のスライド映写権及び付属器具類債貸契約書謄本
判示第一の一、第二の一の事実につき
一、被告人内田利司作成名義の内田産業株式会社の昭和三六年度法人税申告書の謄本
一、前同人作成の同会社同年度法人税の修正申告書の謄本
一、大蔵事務官作成の昭和三六年度修正損益計算書
一、大蔵事務官作成の昭和三六年度脱税額計算書
一、大蔵事務官作成の調査報告書のうち記録番号、一〇八、一〇九、一一〇、一一二、一一四、一一九、一二一、一二二、一二三、一二四、一二五号のもの
一、大蔵事務官作成の岡精一に対する質問てん末書
一、大蔵事務官作成の岡精一に対する質問てん末書謄本
一、大蔵事務官作成の昭和三六年中の法人税の修正申告証明書
一、押収してある昭和三六年度別口普通預金とa/c関連表一巻(証第二号)
一、押収してあるホテル簿外経費帳一冊(証第一一号)
一、押収してある昭和三六年度分本店帳簿九冊(証第一二号)
一、押収してある昭和三六年度分源泉徴収簿一綴(証第二三号)
一、内田産業株式会社、臨時取締役会議事録謄本
判示第一の二、第二の二の事実につき
一、被告人内田利司作成名義の内田産業株式会社の昭和三七年度法人税申告書の謄本
一、前回人作成の同会社同年度法人税の修正申告書の謄本
一、大蔵事務官作成の昭和三七年度修正損益計算書
一、大蔵事務官作成の昭和三七年度脱税額計算書
一、大蔵事務官作成の昭和三七年の法人税修正申告証明書
一、大蔵事務官作成の調査報告書二三通のうち、記録番号一一五、一一六、一一七、一二〇、一二六号のもの
一、押収してある昭和二七年度別口普通預金とa/c関連表一巻(証第三号)
一、押収してある領収書綴一二綴(証第二〇号)
一、押収してある昭和三七年度分源泉徴収簿八綴
(法令の適用)
被告人内田利司の判示第一の一および二各所為はいずれも昭和四〇年法律第三四号法人税法付則第一九条により同法による改正前の法人税法第四八条第一項に、被告内田産業株式会社の判示第二の一および二の名所為は、いずれも同じく改正前の法人税法第四八条第一項、第五一条第一項に各該当するので、いずれも罰金刑を選択し、同法第五二条本文(昭和三七年法律第六七号法人税の一部を改正する法律により削除されたが、第一の一、第二の一の所為当時はなお有効であつた。)により、各所為ごとに処断することとし、その所定金額の範囲内で、被告内田産業株式会社を判示第二の一の罪につき罰金二〇〇万円、第二の二の罪につき罰金二五〇万円に、被告人内田利司を判示第一の一の罪につき罰金五〇万円に、判示第一の二の罪につき罰金一〇〇万円にそれぞれ処し、被告人内田利司において右罰金を完納することができないときは、刑法第一八条により金二、五〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条により被告人両名に連帯して負担させることとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 平井和通)